高次脳機能障害外来
高次脳機能障害とは?
脳の損傷によって起こる、認知や行動、感情などの高度な脳機能の障害を指します。
具体的には交通事故、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍、脳炎などの後遺症として現れることがあります。
また、外見上の障害が目立たないことが多く“見えにくい障害”とされています。そのため、周囲からの理解を得られにくいことがあり、社会復帰や日常生活において困難を抱えることもあります。高次脳機能障害をもつ人たちには、その障害の特性を踏まえた適切な医学的リハビリテーションや生活訓練、就労・就学支援などが必要とされます。

高次脳機能障害の症状
記憶障害
- すぐに忘れる
- 新しいことが覚えられない
- 同じ間違いを何度も繰り返す
- 忘れ物や探し物が多い
- 名前が覚えられない

注意障害
- 物事に集中できない
- ミスが多い
- ぼーっとしている
- 注意がそれやすい

遂行機能障害
- 計画性がない
- 家事の手際が悪い
- 約束の時間に間に合わない
- 機械操作が混乱
- 柔軟な思考ができない

社会的行動障害
【意欲の低下】
- 自分から行動しない
- 引きこもり
- 依存的
- 憂鬱(ゆううつ)
【病識低下】
- 自分の障害がわからない
- 仕事はできると言い張る
- リハビリはいらないと言う
- 相手の気持ちがわからない
- 自己中心的
【易怒性】
- 些細なことで腹をたてる
- 暴言・暴力
- 不正があると過度に怒る、許せない


地理的障害
- 道に迷う
- 自分の家に帰れない
- 地図がわからない
- 目的地に行けない

失語
- 言葉がでてこない、理解できない
- 字が書けない、読めない
- 複数の人との会話で混乱する

(左)半側空間無視
- 左側のおかずを残す
- 左の人や左からの声かけに気づかない
- 左側を向こうとしない
- 左をぶつける
高次脳機能障害の検査・診断方法
- 事故や脳卒中などで、脳に損傷を受けた既往をお伺いします。
- 脳MRI検査、頭部CT検査などで脳損傷部位をチェックします。
- 現在上記のような障害で日常生活または社会生活に制約があるかなどを、総合的に判断し診断します。
高次脳機能障害の治療方法
患者さん一人ひとりの障害の特性を踏まえた適切なリハビリテーションや生活訓練を行います。
また、以下支援・相談もお受けしております。
- 就労・就学支援
- 運転相談
- 障害者手帳相談
- 障害年金相談
リハビリテーションの手順
急性期
基本動作訓練
- 寝返り
- 起き上がり
- 座位
- 移乗
- 立位
- 歩行
回復期(~6か月)
日常生活動作訓練
- 食事
- 整容
- 更衣
- 排泄
- 入浴
- 階段昇降
生活期(6か月~)
拡大日常生活訓練
- 料理
- 洗濯
- 買い物
- 外出
- 電話
- コミュニケーション
- 公共交通機関利用
- 金銭管理
高次脳機能障害に対するリハビリテーション
- 環境調整
- 要素的訓練
- 代償訓練
よくある質問
Q1:「高次脳機能障害とはどのような症状ですか?」
A1:「病気や事故のあとから、言葉が話せない、物忘れが多くなった、仕事に集中できなくなった、物事を計画することがうまくできなくなった、勉強についていけなくなった、いらいらするようになったなどの症状を言います」

Q2:「どのように高次脳機能障害を診断するのですか?」
A2:「高次脳機能障害は脳卒中や脳外傷など脳の病気のあとに発症することがあるので、まず、脳CTやMRIなどで脳をチェックします。脳に傷があることが診断の前提になります。そして症状との関係から診断をしていきます。」

Q3:「高次脳機能障害は治るのですか?」
A3:「症状が軽い場合は治ることもありますが、症状が重い場合は完全に治ることはありません。しかし、さまざまな生活上の工夫やリハビリテーションによって、軽減し、生活や就学、就労やしやすくなると思います。」

Q4:「高次脳機能障害と診断された場合、うけられる経済的支援はありますか?」
A4:「精神障害者保健福祉手帳を取得できます。それによって、さまざまな税金の控除、NHK受信料の免除、タクシー利用券の交付、JRの割引など外出を支援するサービス、重度障碍者の医療費助成などがあります。これらのサービスは、各自治体で異なりますのでご確認ください。また、障害が重い場合、障害年金を受給できる可能性があります。また、交通事故や労災事故の場合、きちんと高次脳機能障害であることが診断されると、賠償や保証金額に影響を与える場合があります。」

高次脳機能障害外来担当医

渡邉 修(ワタナベ シュウ)
専門分野:
- 脳卒中・脳外傷後の後遺症、リハビリテーション
- 高次脳機能障害に対する生活指導、就労支援 等
略歴:
| 1985年03月 | 浜松医科大学医学部卒業 |
| 1985年05月 | 浜松医科大学 脳神経外科配属研究医勤務 |
| 1993年04月 | 東京慈恵会医科大学 リハビリテーション科 教室助手 |
| 東京慈恵会医科大学附属第三病院 リハビリテーション科勤務 | |
| 1993年12月 | 厚生省義肢装具等適合判定医師免許取得 |
| 1995年10月 | スウェーデン カロリンスカ病院 |
| 臨床神経生理学部門 勤務研究生 | |
| 2000年07月 | 神奈川リハビリテーション病院 リハ医学科勤務 |
| 2005年04月 | 首都大学東京 教授 |
| 2012年04月 | 東京慈恵会医科大学附属第三病院 リハビリテーション科 診療部長 |
| 2013年01月 | 東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座 教授 |
資格:
- 日本リハビリテーション医学会専門医
- 厚生省 義肢装具等適合判定医
- 医学博士
役職:
- 日本リハビリテーション医学会代議員
- 日本交通科学学会理事
- 日本安全運転医療学会理事長
- 認知神経学会理事
- 日本高次脳機能障害学会評議員
- 国立障害者リハビリテーションセンター高次脳機能障害情報・支援運営委員会委員
- 東京都高次脳機能障害相談支援体制連携調整委員会委員長
- 日本高次脳機能障害友の会顧問
- 東京高次脳機能障害協議会顧問
- TMG本部リハビリテーション医療特別顧問